今回は北電子が新しく申請した特許が話題になっているので、その内容を解説していきます。
この特許申請は2023年2月に行われたもので、メーカーの特許申請自体は珍しいものではありませんが、今回は内容がかなり特殊で、「ミミズモード」という新しいモードを搭載した機種についての話で、この機種が導入されるとなると業界に多大な影響を及ぼすので、詳しく解説したいと思います。
⭐️本記事の内容はYouTubeでも解説しています⭐️
概要
ミミズモードとは何かというと、特殊なモードでこれに突入すると出玉が徐々に減り続けるという意図的に仕組まれた挙動を示すんです。
通常モードとミミズモードという2つのモードがあり、ミミズモードに入ると100%出玉が減っていくという仕様になっています。
名前もそのままで、ひねりのない「ミミズモード」というのが面白いところですが、実際にこうした機能を持つ台がホールに出てくると、かなり特殊な状況を生むだろうと言われています。
このミミズモードの特許申請が話題になっているのは、過去に北電子が2004年に申請した「乱数調整機能付き遊戯機」の特許と似たような話題性があるからです。(詳細は以下の動画参照)
当時も「ジャグラーには乱数調整がある」といった噂が広まり、今でもその話題が引き合いに出されるほどインパクトが強かったんですね。
特許申請された2つの機能
まず、この特許の効果は「稼働低下を防ぐ」ことだと記載があります。
つまり、ホールでの稼働率を維持するためにミミズモードを搭載するというものです。
この申請には大きく2つの特徴があります。
一つ目は「稼働低下の防止」として「ミミズモードが搭載」されること、そして二つ目は「ミミズモードの報知機能」を持つことです。
特に後者が非常に問題で、もしこの機能を持った台がホールに出てくると、遊技者にとって厳しい展開が予想されます。
ミミズモード
まず、ミミズモードの具体的な内容について説明します。
ミミズモードは、非有利区間から有利区間への移行時に抽選されます。
非有利区間での当選役によって通常モードに移行するか、ミミズモードに突入するかが決まります。
通常モードでは通常のゲーム性が楽しめるのですが、ミミズモードに入ると、出玉が徐々に減少する特殊モードに移行します。
グラフで見ると、右肩下がりに出玉が減っていくという状況になります。
ミミズモードの恐ろしいところは、ATやボーナスの当選確率が著しく低くなり、ほぼ確実に出玉が減り続ける点です。
しかも、このモードは有利区間が終了するまで続くため、原則は区間差枚+2400枚を出さない限りミミズモードから脱出できないという仕組みになっています。
また、設定によってミミズモードへの移行率も異なり、偶数設定、特に設定6の場合は、1/2の確率でミミズモードに突入する仕組みです。
つまり、高設定ほどこのミミズモードに入りやすくなるわけです。
似ている機種が…
皆さんもうお気づきかと思います。
そうなんです、これって革命機ヴァルヴレイヴに似ているんですよ。
ミミズモードの特許を申請している北電子が現行機種であるヴァルヴレイヴと似たシステムを公式に登録しようとしているのは少し奇妙な話です。
なぜ今さらこのモードを申請したのか、その理由は後ほど考察するとして、ヴァルヴレイヴのミミズモードがどのようなものかを説明しておきます。
- ミミズモードという正式名称ではない
- 公式見解発表もない
- 試験対策用?のモード
- 通常モードの機械割をメーカー公表以上に
- 初心者が手を出すと痛い目に遭う
- 設定狙いの難易度が上がる
- ハイエナは拾いやすいし安定(激ウマ)
ヴァルヴレイヴにおいて、ミミズモードという名称は、正式な名称ではなくユーザーが名付けたもので、現在ではそれが通称として広く認知されています。
ですが、北電子の特許ではこのミミズモードというユーザーが使っている通称を、そのまま正式な名称として特許申請しているのです。
この状況自体が少し不思議ですね。
ヴァルヴレイヴのメーカーは、公式にはこのモードについての発表はしていません。
しかし、実際には試験対策用のモードとして存在するものだと考えられています。
いわば「設定L」のモード版のようなものです。
どの設定でもこのモードに入る可能性がありますが、入った場合には右肩下がりのデキレ台と化し、普通に打つとほぼ確実に勝てないという、明らかに試験のためのものであると考えられています。
ヴァルヴレイヴのミミズモードが搭載された理由は、通常モードでの機械割をメーカーが公表する数値以上にするためです。
ミミズモードは機械割を大幅に下げる一方で、通常モードに移行すると非常に高い機械割が叩き出されます。
特に、有利区間を切った後は上乗せ特化ゾーンである「ハラキリドライブ」などの確率が大幅に上昇し、メーカー公表を超える性能を発揮するわけです。
個人的にはミミズモードは存在してもいいと思ってますが、初心者が手を出すと非常に厳しい体験をすることになります。
高設定の示唆が出ると、ついつい打ち続けてしまい、結果的に右肩下がりの展開に陥る可能性が高いです。経験が浅かったり知識がないと、このミミズモードの存在に気づかず、痛い目にあうのです。
さらに、このモードの影響で、設定狙いをする際には通常の設定判別だけでなく、ミミズモード判別という新たな要素も加わります。
高設定だと思ってもミミズモードに入ると出玉が減っていくため、早めに見切ることが重要です。
特にヴァルヴレイヴのような機種では、ミミズモードをうまく回避できるかどうかが設定狙いの成否を分けます。
一方、期待値稼働をするハイエナ勢にとってはミミズモードは非常においしい要素でもありました。
導入当初は、ミミズモードを見極めて期待値のある台を拾うことで、効率的に利益を上げることができました。
通常モードより天井狙いで打てるゲーム数が浅いのでかなりおいしい台でした。
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ミミズモード報知
もう一つの機能として「ミミズモード報知」があります。
これは非常に衝撃的な内容です。
この機能では、リセット後の非有利区間からミミズモードに移行した後に電源をオフにし、再びオンにした際に、ミミズモードにいるかどうかを知らせるシステムが含まれています。
これにより、電源ON・OFFでミミズモードか通常モードかが一目でわかる仕組みになっているのです。
通常、ヴァルヴレイヴのような機種では、ミミズモードにいるかどうかを完全に確定することは困難です。
しかし、北電子のこの新しい特許によれば、電源ON・OFFの操作だけでそれが確定できてしまいます。
これが何を意味するかというと、店側がミミズモードにいるかどうかを事前に把握し、営業の際にその情報を活用できるということです。
さらに衝撃的なのは、低設定の台でも高設定示唆を表示させることができるという点です。
例えば、ミミズモード中に高設定示唆が頻繁に表示されると、ライトユーザーは「この台は高設定かもしれない」と誤解し、プレイを続けてしまう可能性が高まります。
これにより、店側はユーザーを意図的に誘導することができ、非常に不公平な状況を作り出すことができます。
このように、北電子の特許申請には、ユーザーを惑わせる要素が多く含まれており、今後の業界に与える影響が非常に大きいと考えられます。
なぜ北電子は特許申請を行ったのか?
次に特許申請の目的についてお話しします。
なぜ北電子がこんな特許を申請したのか、これはあくまで私の個人的な意見ですので、実際のところはわかりませんが、自分なりに感じたことをお伝えします。
まず一つ目の理由は、単純に「とりあえず取っとこう」という感覚で特許を申請したのではないかということです。
このミミズモードは普通に使えそうだし、誰も特許を取っていないから、じゃあ申請しておこうという軽い気持ちだったのではないか、という可能性があります。
二つ目の理由ですが、これは最も可能性が高いと感じています。
それは、他のメーカーに対する牽制です。
この牽制にはいくつかの側面があります。
まず、ミミズモードの特許を取得することで、その権利を独占でき、他のメーカーがこのシステムを使いにくくなるという点です。
また、北電子自体がミミズモードに対してあまり良い印象を持っていない可能性もあります。
つまり、「メーカーはこのミミズモードをちゃんと認識していて、特許として申請しているよ」というメッセージを一般ユーザーに広めるために、あえて特許を申請したという可能性もあります。
北電子が今まであやふやだったミミズの存在を公式に認めることで、一般ユーザーの怒りを買います。
そうなるとメーカーは実機に搭載しにくくなるためライバルの開発環境に一石を投じることができるというわけです。
特許を取ることが目的ではなく、それを広めることが目的というのはそういうことです。
さらに、最近の一撃性の高い台がどんどん増えている状況に対しての牽制という意味も考えられます。
一撃で大きく勝てる台が増えると、ユーザーはマイルドな機種に戻らなくなり、結果的にユーザーが離れるリスクが高まります。
こうしたリスクを避けるために、北電子が特許を申請したのではないかという見方もできるでしょう。
三つ目としては、単純に北電子のAT機能開発部署が、「とりあえず出しておくか」という軽いノリで特許申請を出した可能性もあります。
多くの企業では特許を取得することが奨励される傾向があり、「どんどん特許を取りましょう」という流れに乗って出してしまったというのも考えられます。
特許申請後はどうなる?
次に、特許申請の今後についてですが、結論としては、特許を取るかどうかはホール状況にはあまり関係ないんですよね。
ここを勘違いしている人が非常に多いです。
特許を取ったからといって、それが実機としてホールに設置できるわけではありません。
例えば、「乱数幅変更機能付き遊戯機」の特許の話でも、特許が取られているなら乱数調整が行われていると勘違いしている人が多かったんです。
でも実際には、特許を取ることは他の人がその技術を使った際に権利料を得るためであって、実際にその機能がホールに設置できるかどうかとは別の話なんです。
ホールに設置するためには型式試験に通る必要がありますが、この型式試験は特許の有無とは全く関係ないんです。
型式試験に通れば設置できますし、通らなければ設置できません。
また、今の法律では実現できない機能でも、特許として申請することは可能です。
過去の「乱数幅変更機能付き遊戯機」のジャグラーの特許も、型式試験に通るような内容ではないので、実際に使用されることはありえません。
ですから、特許を取ったからといって、すぐにホールに導入されるわけではないということを理解していただきたいと思います。
そして、ミミズモード報知の件についてですが、これはさすがに試験には通らないのではないかと思います。
設定にない機械割が低い台を意図的にユーザーに打たせることになりますからね。
ミミズモード特許申請の顛末
結果的には、北電子がこの特許申請を取り下げたというニュースが、2024年9月5日に公表されました。
SNSで話題になりすぎた影響なのかはわかりませんが、この特許が認められることはなくなったということです。
まとめ
今回はSNSで話題になっていた北電子のミミズモード特許申請について解説しました。
この申請の内容を搭載した実機がホールに出回るとユーザー不利の状況となりますが、そうなる可能性は非常に低いと考えています。
また続報があれば解説したいと思います。
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